[殺戮] 残忍な方法で多くの人を殺すこと。 へー。 なるほど。 つまり、 俺らは殺戮者。 //SLAUGHER★MENS//1,出逢い 「…あーぁ。またやっちゃった。」 そう呟きながら、俺は自分の両手に付いた血を見た。 左手の血はすでに酸化し始め、赤黒くなっている。 しかし、右手は左手より遥かに血の量も多く、まだ赤々と輝いていた。 利き手なのだからしょうがないか。と思いながら、改めて見つめた。 深夜二時。さて、このバラバラになった肉片を片付け、さっさと家へ帰り寝てしまおう。 さっきまで恐怖の雄叫びをあげようと必死に抵抗していた人間は、 肉片という無残な姿になり、命を絶ってもまだなお、ピクピクと動いていた。 「…気持ち悪い。」 そして、俺はとどめと言わんばかりに、それらにまた刃を突きつけた。 「かーいこ!おはよう!」 「はよー。」 「お、蚕おはー。」 「おう。」 「あっ、篠崎くん!おはよー。」 「はよ。」 朝のおはようラッシュ。 自分で言うのもアレだけど、俺は学校でもまぁまぁの存在感を持ってる人間だと思う。 笑顔だけは一流だし。たぶん、皆は俺のこと信用してるんだと思う。 けど、学校の皆、誰一人として知らない。俺の本当の姿。 昨日の夜の人格が、本当の俺だってこと。 別に二重人格とかそーいうんではない。皆、俺のことを上辺しかみていないから。 日頃から好青年なら、俺が夜中にあんな行動とってるなんて、 誰も思わないデショ? そうそう。で、最近気になる人間がいる。 あ、気になるって言っても、女の子が騒ぐような"気になる"ではなくて。 俺が言いたい"気になる"は、 "殺したくなるオーラ"を出してるような、そんな異様かつ魅力的なオーラをもつ人間に対して使う"気になる"なの。 けど、別にそいつは殺したくなるような感じじゃない。 じゃぁ、何で俺はそいつが気になっているのか。 実は自分でもわからない。 何故だろう。 夜になる。俺の大好きな暗闇の時間。 夜という闇はこの世の全ての人間を瞬間的に殺してしまうような、そんな威力を持っている気がする。 馬鹿な俺には上手く言えないけれど。 夜にだったら、殺されても良いと思う。 誰かに殺されるなんて冗談じゃないしね。 まぁ、俺はその"誰か"の役をやってるわけだけど。 そして、今日も闇の世界へとふらふらと歩き出す。 今日は手、汚したくないな。 なんて思いながら。 いかにも"裏"というオーラを出している店たちが並ぶ通り。 ここが俺の夜の仲間。 キャバクラとかホストだとかピンク色の世界の店が並ぶ、その裏通りには 頼まれれば殺しもする奴、覚醒剤の売買してる奴、まぁ、ヤクザだとかの世界が広がってるんだ。 その中に、俺はいる。 カラン、カラン、とドアの鈴の音が響く。 「ばんわー。」 「おう。」 既に顔馴染みとなったマスター。 普通は『おう』じゃなくて、『いらっしゃい』とか、言うもんじゃないの? 最初の方にはそんなような挨拶も聞いた気がするけど、もう大分聞いてないね。 「俺いつものブラックウッズちゃんで。」 「へいへい。いつものって言やぁいつもの出すよ。」 「だって、名前カッコ良くない?」 「知らん。」 「うーわ。ひでぇマスター。」 俺なんか気にせずマスターは俺が望んだウォッカをコトン、と置いた。 キンキンに冷えたそれを、俺は手に持ち一口ずつ味わいながら飲んでゆく。 カラン、カラン 視線は音と共にドアへと移る。 「………っ。」 危なかった。口からウォッカを噴出しそうになってしまった。 だって、いや、本気でビビッたから。 ドアの向こうから現れた人物。俺が気になる人間って言ってた張本人。 しかしそいつは、そんな俺の内なる動揺を知りもせず、 俺との間にひとつ分の席を置いて座った。 チラリ、と目をやる。 「クルエボ・エスペシャル。」 「あいよ。」 マスターがクルエボ何とかっていうのを取りに行く。 持って来たのを見ると、テキーラなのかな。 俺は彼がここへ現れたという事実にすごく興奮していた。 だって、ここは裏社会の人間しか現れないところだよ? 気になって仕方がなかったの。 「………ねぇ、戸塚來羽君でしょ?」 そう俺が言った瞬間、彼は俺の顔をまじまじと見つめた。 けど、あまり"驚いた"っていう顔をしてない。 …でも、こんな反応してるんだから驚いてるんだよね?たぶん。 「そうだけど。…アンタ誰。」 たっぷりと、間を置いて彼は俺に言った。 「俺は篠崎蚕。俺ね、君と同じ学校なの。」 彼は小さくあぁ、と呟いて、黒くて細長いタバコに火をつけた。 その動作を見てたら、俺もタバコを吸いたくなって、ポケットからタバコを取り出した。 で、すぐにライターがないのに気付く。 …昨日、部屋で吸ってポケットに入れ忘れたみたい。 「ねぇ、火ぃかしてくんない?」 戸塚來羽に頼んでみた。 どんなキッカケでも良いから、俺自身、どうしてこんなに戸塚來羽が気になるのか、 それを確かめたかった。 彼は何も言わずに、俺にライターを差し出した。 「さんきゅー。」 笑顔で受け取った。 「……アンタのその顔気持ち悪い。」 「は?」 「気持ち悪い。その作り笑顔。」 その作り笑顔。 だって。 ねぇ、聞いた? 今までこの作り笑顔で学校の皆を騙して来たのに、 今までこの作り笑顔を誰も見破ったことなんて親でさえなかったのに、 それを、戸塚來羽は一回で見破った。 わかった気がする。 俺がどうして、戸塚來羽が気になるのか。 「ねぇ、戸塚君。もし、人間を殺したとしたら、楽しいと思う?」 答えは、すごく簡単だったんだ。 彼はまた、俺のことをまじまじと見つめて、 人間を蔑んだような目つきをして 「…めちゃくちゃ楽しいと思う。」 と笑った。 そう、彼と俺は同じ 殺戮者なんだ。 ----- 一発目、水無月です。 何か、小説短かった気がするんだけど気のせいかしら。(ぁ 悪戯ちんが早く書けっていうから頑張ったよ!私頑張った!(…。 いろいろボロは出てるけど、あとは悪戯ちゃんに任せるので〜。 まぁ…頑張ってくれたまえ!楽しみにしてるさ! ふふふふふvvv(キモイ んでもって來羽のイメージ違ったらごめん…orz 05/7/30 WrittenBy 水無月 |