「すっごぉ…。コレは広すぎじゃね?」 玄関からまず驚いた。 かなり、広い。 コレは俺んちの家の玄関の軽く1.5倍はあるんじゃないだろうか。 場合によっては、2倍だろう。 「別に。普通だろ。」 と言い捨てて、來羽はスタスタと俺の前を歩いていく。 來羽は俺よりざっと10センチ以上の差があるため、歩幅が來羽のが広い。 つまり、來羽にスタスタと歩かれると、追いつくのが大変。 あ、既に俺、置いてかれてるし。 「ってか、高級マンションに住んでるあたりから普通じゃないからネ。」 「そうかもな。」 …自覚症状は無しデスカ。 //SLAUGHER★MENS//3,興味 「で、ご両親は?やっぱ挨拶って大事っしょ!」 一生懸命歩いて、來羽に追いついた。 ってか、どんだけ広いんだこの家は。 「あ?」 「何て言おう…。"戸塚來羽君と良いお付き合いさせてもらっております。篠崎蚕と申します。"とか?」 「馬鹿だろ。」 「きゃー!ごめん!じょ、冗談だから!冗談だから銃を僕に向けないでっ!!」 「冗談。」 …ごめん、君が銃を持ってたら冗談に見えないよ。 「で、冗談抜きに。親は?」 「死んだけど。」 「あ、そう。死んだんだぁ。………って、えぇ!?」 「俺が小1の時に死んだ。そんな驚くことか?」 そう言って、來羽はソファに腰掛けて、タバコをふかし始めた。 お気に入りの黒いタバコ、ジョーカーを。 「お前も座れ。」 「ハイ。」 さり気、命令口調です。この人。 「…改めて見ると、お前ちっさいよな。」 「まっ、失礼な!」 「身長いくつ。」 「165センチぃー。で、そーゆー來羽は?」 「180。」 「……ちょうど15センチ差なんだ。良いね。おっきくて。」 改めて來羽を見てみる。 正直、本当にうらやましい。 だって、ほら、165って言ったら、女子にもこれぐらいの身長の子いるでしょ。 なんか、ねぇ。 「別に。」 「俺170センチは欲しかったよ。」 「へぇ。」 …興味なさそうですね。この人。 「あ、ねぇねぇ。コレ見てよ。」 そう言って、俺はズボンのポケットからケータイを取り出す。 カチャ、と音を立ててケータイが開かれ、画面が明るくなる。 「俺んちの犬、見せたげるー。」 「犬飼ってんの?」 「うん。」 「犬のお前が?」 「犬じゃなくて蚕くんです。」 「ふーん。」 ふーんって! ふーんで済ませちゃったよこの人! ……もう良いや…。 「柴犬のコロってゆーの。」 「コロ?アホっぽい名前だな…。」 「小学生の時に付けた名前だからね。」 「お前が?」 「うん。」 「じゃぁ、しょーがないよな。」 と、大分俺に失礼な発言をしてから來羽がケータイを覗いてくる。 で、次の瞬間にケータイを奪われた。 來羽が、犬を、真剣に見つめてる。 正直コロという名前より、この光景の方が俺からしてみればアホっぽい。 「可愛いっしょー。」 「うん。可愛いな。」 … … … … ! ! ? 「來羽の口から可愛いという単語がぁーッ!!?」 「うるせぇよ。」 「痛ッ!!」 殴られました。 まぁ、銃で撃たれなかったよりマシだと思うことにします。 「…犬すきなの?」 「ちっさいもんが好き。」 「あ、じゃぁ俺だ。」 「勝手に言ってろ馬鹿。」 「あは。冗談ー。」 何か、意外だよね。 人を普通に殺す來羽が、ちっさいもの好きとか。 ……笑いが込み上げてくるけど、笑ったら今度こそ殺されるよね。 ガマン、ガマン…。 「俺の場合は背がちっさいのは家系なんだよねぇー。」 「へぇ。」 「コレでも俺、家族で1番背が高いんだよ。」 「父親よりもお前のがデカイのか。」 「あ、俺んち父親いないよ。」 「何で?」 「俺が殺したの。」 にっこりと、俺は笑った。 作り笑顔なんかじゃない。 思い出して、心底楽しく。 「………お前が?」 「うん。俺が。」 「…何で自分の父親?」 「アイツ、俺と俺の弟を虐待すっから。殺した。」 思い出すだけで、背筋がぞくぞくする。 あのスリル。たまらなかった。 憎いヤツを殺すのって、本当に、楽しくてたまらない。 アイツが苦しむところは、ひどく滑稽で、 笑いをこらえられず、俺はアイツのもがく横で笑いながら、死ぬ様を眺めていた。 「お前も、狂ってんのな。」 そーゆー來羽だって、興味津々って顔してるよ。 ----- 三発目ー。水無月です。 戸塚家で交わされる会話。悪戯ちゃんのご要望も取り入れております。(笑 ちょっと今回は來羽くんのイメージが軽く崩れたかも? まぁ、悪戯ちゃんが元に戻してくれるらしいので。これからに期待!(ははん 05/08/06 WrittenBy 水無月 |