このお宅、家もでかけりゃ風呂もでかいみたいです。


俺んちも小さいわけじゃないと思うけどなぁ。






あ、そうだ。ここのお風呂シンプル過ぎてつまんないから、

今度アヒルのおもちゃのガァ子を連れて来よう。






























//SLAUGHER★MENS//5,変化





























「ねー、ホントに服ってコレしかないのぉ?」







びよーん、と自分の着てるシャツを引っ張りながら言ってみる。








「だから、サイズねぇって言ったろ。ってか、服が伸びるからやめろ。」


「むー…。サイズが無いにしたって…真面目にダボダボですよコレ。」









普通に立ってみて、俺の膝よりちょっと上まで届く赤いシャツ。

いやいや。子供じゃないんですから。

膝のちょぃ上まで届いちゃうって…どうなのよ…。











「お前が小さいから悪ぃんだろ。」












そう言って、彼は笑いました。









へへへ。悪魔ですかこの人。








そうだ。きっとそうに違いない…っていうか、悪魔だ。














「まー良いけどね!!そのうち俺は、このシャツきつくて着れなくなるから!」


「お前、あっちの部屋使って寝ろよ。じゃ、風呂入ってくるから。」







スタスタ。

彼は風呂に向かいました。





「って、ちょっとは聞いてよーぅ!!!」





軽くシカトされた俺。

しょーがないから"あっちの部屋"で寝ようかな…。



なんか俺、寂しい人間みたいになってるよ。







「あ、ブラックウッズちゃん連れてこなきゃ。」






寝酒にしとけって言ってたしね。














































「らーいはー!」







揺すってみる。







「……」







反応なし。








「來羽ー。」









布団を奪ってみる。









「…………うるせぇなぁ…」








あ、意識が戻ってきたみたい。


今がチャンス!









「らいはきゅん!起きて!」








ムクリと、來羽が起きた。



"らいはきゅん"につっこむ気はなさそうです。






あ、また寝そうな雰囲気。ダメだよ!今日学校だよ!




なんて考えながら。




ふと、窓の外を見る。

ここはマンションだから、見えるものといったら街の小さな風景とか

綺麗な青空だけ。












「君、寝起き悪いのね。」


「何時…って、まだ時間余裕あんじゃねぇかよ。俺は寝る。」


「だめ。蚕くん特製の朝ご飯が冷めちゃうよ!」


「あ?……飯?」


「うん。ご飯ちゃんと食べてる?冷蔵庫すっからかんに近かったけど。」


「あー…」


「まぁ、とりあえず起きてー!じゃなきゃ君んちの食材で作ったご飯俺が全部食べるから!」


「やっぱお前の本性は図々しいな…」







眉間にしわを寄せながら、來羽が起きる。

よくコレで1人暮らししていけてるよな。

なんて思ってしまうのは俺だけかな。




來羽はぼーっとした感じで、椅子に座った。

なんだろう。低血圧かなこの人。







「コレ、全部お前が作ったの?」


「いぇーす。」


「ふーん。」








…ふーんだけ!?







「ってか、冷蔵庫なんにもなくて焦ったよ。」









ホント。びっくりしたよ。

冷蔵庫にあるものって言ったら、調味料とかちょっとの野菜とか。

お酒系にコーヒーとかの飲み物。

あとは基本、インスタント系。








「俺、買出し嫌いだから。」


「あー。似合わないねぇ。」







だって、來羽が買い物カゴもってたら…失礼だけど、俺なら笑うね。







「じゃぁ、今日学校帰りに買出ししてこうね。」


「あぁ。」







さてさて、俺もさっさか飯食べて学校に行きますかね…。




















「あ、そうだ。俺さ、今日1回家に帰るから。」






俺のバイクにまたがって、タバコに火をつけてる來羽に言う。






「何しに?」


「弟に顔出してーあとは、荷物持ってくる。」








バイクにキーを差し込む。ブオンと鳴って、エンジンが動き出す。







「お前、弟いんだ。母親には顔出さないのか?」


「中二のね。母親…には、別に良いよ。」






ヘルメットをして、ぐっとハンドルを握る。

ゆっくりと、バイクが動き出す。







「父親殺して、母親とも仲悪いのか。」


「まーね。俺、家族弟だけで良いから。あ、ブラコンってワケじゃないからね。」


「へぇ。」







來羽の吸ってるタバコの香りが、仄かに鼻に届く。

俺も早くタバコ吸いたい。







「來羽、とばすからタバコ気ぃつけて。」


「わかった。」








その返事を聞いたと同時に、俺はハンドルを強くひねった。

結構な速さを出してるため、風を切る音が耳につく。

この時間この道に警察は来ないし、多少速度オーバーしても捕まる心配はない。

まぁ、俺は捕まったことないけど。その前に逃げるから。



段々と、同じ制服を来た人間が増えてくる。学校が近いということだ。

速度を多少落とす。



そして、いつもと様子が違うことに気付く。







「………アレ?」


「あ?」


「いつものおはようラッシュが来ない。」


「何だそれ。」


「いや、ちょっとねぇ。」






いつもは俺がバイクでここら辺を走ってると、

俺の表側だけみて仲が良いと思い込んでるヤツが、「おはよう」と声をかけて来る。

あと、先生にバイクを注意される。








「おっかしーなぁー…。」







その後、おはようとは何回か言われたものの、やっぱり、皆いつもと様子が違った。

しかも、先生に注意されなかった。



この異変は、たまたま?









「あ、わかった。」


「さっきから何なんだてめぇは。」






バイクから降りてる最中の來羽が言う。





「いや、いつもならおはようってスゴイ人数に言われるんだけどさ。」


「…今日そんな言われたか?」


「ううん。かなり少なかった。しかも先生に全然注意されなかったし。で、その原因がわかった。」





渡されたヘルメットをしまいつつ続ける。






「來羽がいるからだ。」




「…は?」








來羽は、いかにも理解できないという顔をしている。

まぁ、そりゃぁそうだろうけど。










「俺が來羽と学校でつるんだことある?」


「ないな。」


「それだよ。來羽って学校で怖いと思われてるからね。」


「……ふーん。」









にしても、先生まで來羽を恐れているのか。






さすがといえば、さすが。







確かに怖いけど、小さいものが好きという謎の一面を知ってるのはもしかしたら俺だけかな。







なんて思って、昨日のケータイを見つける來羽の姿も思い出して。







ちょっと笑えた。來羽に「気色悪ぃなてめぇは。」って嫌な顔されたけど。

















学校、楽しくなりそう。







































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五発目ー。水無月です。

とりあえず、学校までは辿り着きましたね。

このあと悪戯ちゃんが学校で何をしでかしてくれるのか…。

楽しみです。(笑








05/08/15