「なんか極道の組長とかになった気分だよ。すごい新鮮。」

「・・・・・あっそ。」




俺たちは常に廊下の真ん中



それを避けるかのように

両端には人、人、人

何も言っていないのに、道を次々にあけていく



まるで、俺たちは見せ物


ウザイことこの上ない




「あ、デズニィ―ランドのパレードやってる人ってこんな気分?!」




そんなの俺が知るか




























//SLAUGHER★MENS//6.面倒










「だからよ、オメェ戸塚と絡むの止せって。」





これから通ろうとしている廊下の先に、ガラの悪い男子と女子数人が屯っていた



まだ少し離れているというのに、でかい声で話しているため、此方に会話が丸聞こえ

その会話の中に自分の名前が入っていると思うと、嫌気がさす




「えー?來羽はそんな怖くないってばー。」



そして、認めたくないが、聞き覚えのある声もその中に約1名

赤い、ブカブカのシャツが目立つ









あのパレードのような朝を終え、

俺たちは自分達のクラスへと行った

朝のことがあってか、周りの視線は気に触った

その場をなんとか絶え、午前中の授業が終了



とにかく、人の目につかないところに行きたくて、

昼休みになった瞬間、教室を出た



そして、案の定


いまの状況へ









「あのなァ、蚕。好奇心旺盛なのは構わねェケド、戸塚は別なの!わかる?!」


要は俺と蚕が一緒にいる事を認めたくないんだろう

そんなの、俺だって認めたくねぇよ


「んー?」

「そうそう。蚕と戸塚君じゃ、不釣合いだよ!」


そりゃ、嬉しい事を聞いたもんだ

不釣合いでけっこう


「でもカッコ良くない?顔悪くないっしょ?」

「顔は良いけどさ。性格とか冷めてるし。怖いし。あんなの彼氏だったらツマンナイ。」

彼氏にするなら、やっぱ蚕みたいなのが良い!と言いながら、キャアキャア騒ぎ出す


こっちから願い下げだっつの



さんざん、勝手な事をいってくれて、最高に気分が悪い




ただそれより



いまはこの状況をどうするかだ

奴等の前を通らない事には、目的の場所へたどり着けない

かといって、あそこを通れば蚕が呼び止めるだろう

それはそれで面倒くさい


でもまあ、そんなこと言ってられるほど時間はないので、

そこを通る事にした

蚕には無視を決め込む




そんなことを考えながら、廊下をスタスタと歩く





「あ、來羽ッ!!」



やっぱり、きた


でかい声で名前を呼ぶな


「ゲ、戸塚・・・っ」

マズったという顔をしながら、此方を見る


「來羽來羽來羽來羽來羽來羽ー」


あァ、もうシツコイなコイツは

連呼すんな






「無視すんなよ、來羽ー!!!!」


「・・・・っ?!」





いい加減、名前の連呼に腹を立てて、振り返ってみると

勢い良く、蚕が降ってきた



ドサッっと音をだして倒れこむ




「・・・・・蚕、テメェ。。」


倒れこんだ俺の上に馬乗り状態の蚕

殴ってやりたいところだが、グッと堪えてやる




「普通に、呼び止めるとか考えねぇのか。」

「だってそれじゃぁ、完璧無視でしょ?」




だからって飛びつくんじゃねぇよ



どこまで犬なんだ、コイツ









「ん?・・・・おおおおお??」

「・・・んだよ。」



「・・・・・・・・服汚れちゃった」

えへっと最後につけて笑う






「死ね。」



蚕の腹へ、おもいきり力を込めてストレート






「ゴホッ・・ゲホッッ痛いしー・・・」

「んの、バカッ!!どけ、蚕っ!!」


近くにいた男子が、俺の上にいる蚕をグイッと引き寄せる

俺の上から、重みが消える




「わ、悪かったな戸塚!コイツ何にも考えてねェからよ、」


てきとうに聞きながら立ち上がる




・・・・・何も考えてない ね




「気ィ悪くしたかもしんないけど、怒んないでくれなッ」


ホントにさっきから勝手な事ばかり口にしやがって

ここが学校なんて場所じゃなかったら、殴ってた

こんな奴を毎日のように相手している蚕を、ある意味、尊敬する



「・・・・・蚕、」


一息ついて、蚕を呼ぶ

周りはまだ怒ってんのかよ・・・!などと騒ぐ

それを無視して蚕に視線を向ける


「ん?」



「帰りは裏門から出て待ってろ。先公にバレんじゃねぇぞ。」


一瞬、大きく目を見開いて


「・・・・はーい。」


にっこりと笑う



帰りも足かー。と文句を言っているわりに、顔はそうでもなさそうだ




それを確認して、すぐに方向を変える





俺たちのやりとりを呆然としてみていた奴等も無視して、目的の場所へまた歩き出す







「あ、ちょっと待って來羽っ!」


「あ?」



振り返ると何かが飛んできた

反射的にそれをキャッチする



「お昼ごはん!どうせ食ってないんっしょ?あげるー。」

「・・・・・・潰れて原型が見えないが?」

「な・・・!歴としたパンだよ!!潰れてるのはさっき、踏んだとかそんなじゃないから!」


結局、踏んだんだろう


食えるか、こんなもの

嫌がらせ以外のなにものでもない




「ホント、死ね。」


中身もでてグチャグチャのパンをおもいきり握り潰して、投げ返す


「だあああ!!ヒド!きったね!!」

「バカ、蚕!こっちに投げんなっ!!」





ああ、ホントにバカバカしい




そんなことを思っている反面



無視を決め込んだのに、

結局相手をしてしまった自分が、少し笑える









今日は厄日か・・・?


それとも、これが“最高の一日”というやつなのだろうか








誰もいない廊下で、込上げてくるものを抑えて、ククッと笑う





























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6発目、悪戯より。


もっと書きたいことなんて、そりゃありましたけどね。

まァ、このぐらいに。笑


なんか・・・うん。どうなんでしょうかね!!

蚕と來羽に道をばーっと開けていくっていうのを書きたかったんです。よ。。












05/08/16

WrittenBy 悪戯